















群馬の財産「みやま文庫」。なかでも特に好きな一冊です。群馬の山あいの暮らしぶりを書いています。写真が多くてうれしいです。
父の実家が嬬恋村なので、こういった生活をしていたのかなあと想像します。
県内の小学生が書いた作文をご紹介します。
「炭しょい」
ぼくはグローブを買いたくて、
いっしょうけんめい炭をしょった。
しも柱のたった冷たい道で、
何度もころがった。冷たかった。
二俵の炭は重たかった。
こんなに苦しいなら、
グローブなんかいいとも思った。
今しょっているこの炭はどこへ行くのだろう。
ふとそんなことを考えた。
この炭はぼくの背中からおろされる。
庭につまれて、炭屋に買われて、
鬼石を通り、新町を通って、高崎へ行くのかも知れない。
そして、お店の前につまれるだろう。
店から買われた炭は、
やきいもをやく炭になるのかな。
かじ屋のおじさんも使うだろう。
雪合戦で、
赤くかがれた友だちの手を、
あたためたりもするだろう。
ぼくがグローブを買うために、
しょう炭が、
こんなに人の役にたつなんて、
ゆかいだなあ。
なんだかえらくなったような気がする。
炭もかるくなった。
働くってすばらしいなあ。
|発行|みやま文庫
|出版年|昭和37年
|サイズ|約181mm×127mm
|状態|全体に細かなヨゴレ、小口にシミ、日焼けなどが見られますが、大きなダメージはありません。