










ここを去って帰り行くべき故郷はない。墓は浅草清島町の寺にある。どこへ逃げて行こうと、死ねば、骨は浅草の、あの寺の、あの墓石の下に納められてしまうだろう。だから今では、ままよと、この化物じみた東京の片隅に居直った恰好になっている。(「口上」より)
昭和30年代後半。著者はすごい勢いで変わりゆく東京を嘆いているが、それでも本書に収められた写真からは、まだ、古き良き東京を感じられるような気がする。むしろ、その変化の中にあって、昔ながらの東京が浮かび上がってよく見える。雑誌『旅』に連載された東京の街に関するエッセイ集成。函の装画・木村荘八。写真構成・野口達二。著者はドイツ文学者。
|著者|高橋義孝
|出版|文藝春秋新社
|出版年|昭和39年
|サイズ|214mm×160mm
|状態|外函に細かなキズ・スレ・ヨゴレ、日焼け、本体小口に日焼け細かなシミなど経年による劣化がありますが、大きなダメージはありません。