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芸の好き嫌いがはっきりしていて、当時の芸人を脅かしていた“アンツル”。落語など芸事の評論を生業としながらも、うまいもの、普段の生活の随筆の連載もしていた。本書は後者の随筆集。
歯科治療を終えたときの心持ちを読むと「嗚呼、同志」と思ってしまう。
この分だと、きょうはまず、11時には、歯の椅子から解放されるだろう。世話になっていて、こんなことをいうのはすまないが、歯の椅子から解放されると、もう、そのことだけで、ひどくうれしくなって、いつも、さア、これからなにをしようか、と思ッちゃうのである。
カバーの絵は井上安治「銀座通夜景」。かつての夜の暗さを思う。
|著者|安藤鶴夫
|発行|旺文社
|出版年|昭和53年初版
|サイズ|約150×107mm
|状態|天地小口に細かなシミ、全体に細かなヨゴレ、スレ、古本のにおいがします。