貧困と無気力が支配するアメリカ南部の小さな工場町。音楽に志す多感な少女、妻を失った食堂の主人、黒人解放に情熱を燃やす老医師、革命家が、で聾の男シンガーのもとに集まる。彼の中に神のような包容力と理解との幻覚を見て・・・・・・。五人の登場人物の《報われざる愛》の連鎖と破局をフーガ形式で描き、人間存在の孤独と挫折を追究した、南部を代表する女流作家の処女長編。(旧版新潮文庫内容紹介より)
2020年、村上春樹の新訳として発表されるまで長らく“読めない傑作”だった。そう多く出回らず、古書価が高かった。どちらかの翻訳で読んで感じる部分があれば、もうひとつの翻訳でもぜひ読んでいただきたい。どちらもいい味がする。当時のアメリカのにおいが漂っていて、読んでいる間はすっかりトリップしている。
|作者|マッカラーズ(作)河野一郎(訳)
|発行|新潮社
|出版年|昭和49年第3刷
|サイズ|約151×105mm
|状態|ダストカバーに細かなヨゴレやシミ、小口は日焼けと細かなシミがあります。