hot


七月堂の存在を教えてくれたのはsuiranの常連さんで、あれからもう10年くらい経っているのかもしれません。
お店には一度きりしか行ったことがないものの(まだ明大前にあったころ)、本のイベント「敷島。本の森」にご出店いただいたり、欲しい本のリストをお送りして「入荷したら教えてください」なんて厚かましいお願いをしたこともありました。
でもやっぱり忘れられないのは、七月堂の後藤さんが「土屋さん、今ちょっとだけ読んでみてもらえます?」と、フリッツ・アートセンターの出入口付近で、鞄から取り出した西尾勝彦さんの詩集『歩きながらはじまること』を確信犯的な笑みを浮かべて差し出してくれたことです。
だから僕は西尾さんの詩と出会ってしまった瞬間を鮮明に覚えています。
その後、西尾さんの新刊が発売されるたびに欠かさず購入し、フリッツ・アートセンターとやまのはで販売をしてきました。西尾勝彦さんの著書を群馬県で最も販売しているであろう自負があります。作品にすばらしい魅力があるからでいばれることではありませんが。
そんな七月堂が発行するZINE『AM 4:07』で一冊の本を紹介いたしました。選書のテーマは「五月の待合室であのひとが来るまで読んでいたい詩歌本」。
suiranのオンラインストアでも販売いたします。
軽やかに「詩」に触れられる媒体です。詩って何。というのは、生きるって何。と同じくらい難題だと思っていて、だからとりあえず触れてみる、何はなくとも生きてみるってことが一番効果的なのかな。
・
「AM 4:07」創刊にあたって
この、「詩」と「エッセイ」そして「書店」をテーマに立ち上げた雑誌のタイトルは、もうすぐ日の出を迎える空を見上げると、夜とも朝とも名付けられない景色が広がっているであろう七月の東京の空のことを想像してつけられました。どちらでもあって、どちらでもない。また、そのものでしかありえないもの。世界にはきっと、名付けられていないものが、名付けられたものの何百倍もあって、そんなことには関心を持たずに存在しているような気がします。
自分らしく生きるということが、何者かになるためではなく、ただその人そのものであればよいと思えたら。
これからの七月堂が目指したいことのひとつ、「自分らしくあれる場所」を自分自身の手で作り守っていくために、全一二回の発行を目標に創刊しました。
詩を書く人と、読む人と、売る人の架け橋になることを願い、ありったけの感謝の気持ちをこめて作っていきます。
手にしてくださる方にとって、思いがけずふと、詩的な世界を楽しんでいただける雑誌になれることを願っています。
2024年3月
七月堂 後藤聖子
発行人┆後藤聖子
組版・デザイン┆川島雄太郎
製本指導┆紙とゆびさき
印刷・製本・発行┊七月堂
発行日┆2025年5月15日
発売┆5月10日
価格┆1,100円(税込)
発行部数┆500部
通算12号を不定期にて発行予定