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ハイカラ食いしんぼう記

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「ビフテキにしてもいい?嫌いだったら他のものを」「好きよ」と私が言う。金剛さんはスープとトゥルネードを注文した。そして「セニヤンでね」とつけたして言った。トゥルネートは知ってるけれど、セニヤンて何だろう、と私は心配になる。セニヤンて何のこと?と訊けばいいのに恥しくて言えない。見栄を張っているのじゃない、と私がおなかの中で言っていると、まるでそれが聞えでもしたかのように「勝手にセニヤンと言っちゃったけれど、よく焼いた方がよかったかな。セニャンてのは生焼きのこと。血の出るようなって意味かな」と彼が言った。私は耳の後の方まで赤くなったらしい。その赤さを金剛さんが見たかと思うと、又一層赤くなりそうだから、ほったらかすことに決め、階下のお客を見たり、セロとヴァイオリン奏者の方を見て、つんとした。 ・・・ 与謝野晶子らによって創設され、数多くの芸術家や作家を輩出した文化学院に学び、モダンガールとしてテレビのコメンテーターや作家として活動をした。文壇・画壇に近く、本書の装画を描いた東郷青児、扉絵の佐野繁次郎らは、夫で画家の阿部金剛を通じて親交を重ねてた。 そんな華やかな世界に生まれ育った著者の、食にまつわる随筆集。戦前とは思えないハイカラな食事の数々とその場で書いたかのような仔細な描写に日本のある時代を垣間見る。 |著者|三宅艶子 |発行|じゃこめてい出版 |出版年|1980年第1刷 |サイズ|約182×128mm |状態|背表紙・ページのフチに日焼け、小口に細かなシミ、全体に細かなスレなど、経年相応のダメージがあります。

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